【誤差はあってもOK】木工で失敗しないコツ【正確な測定をしよう】

木材一本の加工ミスなら やり直せますが、完成後に 設計図より小さかった、引き出しがスムーズに動かない といった失敗は避けたいものです。

そのためには すべての加工を完璧な精度でやらなければならないかというと、そんな事はありません。

その理由と失敗しない方法を解説します。

目次

誤差ありきの設計で失敗は防げる

木工で 失敗する原因はざっくり以下の3つです。

  • 設計図がミスってる
  • 加工(カット、穴あけ)でミスる
  • 塗装でムラができる

設計図がミスってたらそれはちゃんとしたものが出来上がらないのは当然なので、ここでは置いておきます。

失敗しないようにしたときに、とくに慎重になるのが ふたつ目の加工のところじゃないでしょうか。

これが最も重要なのは間違いないし、初心者に最も難しいと思われるところなんですが、ここは ソーガイドと 自作ドリルスタンドで解決できます。

ソーガイドとドリルスタンドについては以下の記事をどうぞ。

塗装についても以下の記事を読んでもらえれば色ムラの失敗を回避できると思います。

それでも完成品が 数ミリ小さいとか、引き出しがスムーズに動かないといったことが起こることがあるんです。

その理由は

  • 誤差を考慮してない

からです。

加工誤差と組み立て誤差

ソーガイドでのカットは だれでも 0.3mm以内の精度でカットできます。

結構 精度高いんですが、このわずかな誤差でも 組み立てときに 誤差が積み重なっていけば 1mmくらいはズレてきてしまいます。

また 大きな作品になるほど 接合のときに圧着が甘くなりやすく、コンマ数ミリの隙間ができたりもします。

カットしたときの加工誤差、接合のときの組み立て誤差を考慮しないと 完成品が設計図通りの寸法に仕上がらなくなるんです。

だからといって、全ての加工、接合で完璧な精度を出す必要はありません。

材料をカット → 組み立てる → 測定 → 材料を誤差分を調整してカット

という具合に、最後の「材料を誤差分を調整してカット」のところで精度を出して帳尻を合わせればいいんです。

帳尻を合わせるために必要なのがその前の「測定」になります。

見落としがちな材料の誤差

確認を怠りがちなのが 材料の誤差です。

買ってきた材料の厚さや 幅をちゃんと測ってますか?

初心者の頃の私は 買った木材の表記してある寸法や、ホームセンターでカットしてもらった寸法を確認もせず完全に信用してました。

機械で加工してるから 完璧な寸法、直角が出ていると。

そんなことはありません、必ず確認しましょう。

30mm幅のヒノキの角材を買ったら 27mmしか無かったこともあるし、ホームセンターでのカットも 1mmくらいの誤差は 平気で出ます。

測定する場所によって 違うことはよくありますし、比較的精度が高そうな合板も 板厚が コンマ数ミリ 薄いということもあります。

下の画像は 厚さ 9mmのシナ合板ですが、測定してみると 8.8mmです。

とにかく 材料は信じちゃいけません。

そして この材料の誤差はあらかじめ設計図に考慮しにくい部分なのでやっかいです。

誤差を吸収できる箇所を設計に入れておく

材料の誤差も考慮に入れた設計図を書いて、その通りに完璧に材料をカットして接合するのは まずムリです。

ではどうするかというと、あらかじめ設計で誤差を吸収する部分をつくっておきます。

たとえば下の画像のように、左半分に引き出し、右側半分は開いた棚を作るとします。

この棚で一番精度が必要なのは 引き出しの部分の棚板の長さです。

理由は 特に レール付の引き出しの場合は、広すぎても狭すぎても引き出しがスムーズに動かないから。

あと、天板も全体の大きさを決めるために それなりに精度が必要です。

逆に右側の棚板は 精度が必要ないので ここで長さを調整します。

赤矢印の部分で精度を、青矢印で寸法調整するために、次の画像のような順番で組み立てていけば 引き出しが動かないとか、全体の大きさが違うといった失敗を防げます。

誤差の測定に必要な道具 3つ

誤差は 場所によっては あっても大丈夫で、大切なことは誤差があることをちゃんと把握しておくこと。

そのためには正確な測定が重要です。

測定で必要な道具は 以下の3つ。

  • さしがね
  • コンベックス
  • ノギス

さしがね:直角の確認に必要

長さの精度の前にカット面で直角が出ていることは大前提です。

カット面が斜めだったら まっすぐ組みあがらないですからね。

切断面に さしがねを当てて 隙間がないかで直角を確認するわけですが、木材に反りがある場合は要注意です。

木口が直角にカットできていても、反りがあると両端の木口は平行にならないからです。

下の図は極端ですが こんなイメージです。

私は初心者の頃に 木口が直角に切れてるなら 角材を立てても倒れないはずと 思って立つまで ソーガイドの角度調整をしたこともありますが、完全にアホでした。

信じるべきは木材ではなく さしがねです。

直角の線をひくならスコヤ

さしがねで直角の線をひくのは 慣れが必要で、意外と難しいです。結構ずれます。

初心者は直角の線を引くのにはスコヤの方が間違いないです。

というか 私は いまだに さしがねで ひいた直角の線に自信がありません。

ほぼ 100%スコヤを使って線をひいてます。

45度でも使えるものがオススメです。

コンベックス:長尺、内寸の測定に必要

長尺のものをはかるにはコンベックス、いわゆるメジャーですね。

コンベックスって言った方が通っぽく聞こえます。

コンベックを選ぶ際のポイントは 3つ。

  • JIS1級
  • 長めのもの
  • 内寸を測れる

JIS1級が付いてると 長さ 500mmに対して 0.5mm以内の精度が保証されます。

ここは最低限確認しましょう。

テープの長さについてですが、2m以下の ものしか測るつもりがなくても 5mくらいのコンベックスを買っておいた方がいいです。

長めのものは それだけテープの幅と 厚さが増えるので、伸ばしたときに垂れなくなるからです。

上の画像は 赤い方が 3.3m(テープ幅 16mm)で、黄色い方が 5.5m(テープ幅 25mm)のコンベックスの比較です。

1mくらいしか出してませんが、垂れ方が全然違いますよね。

ひとりで測定するときに この違いは作業性に大きく影響します。

最後に 特にオススメしたいのが 内寸を測れるもの。

棚の奥の幅を測るときとか下の画像のように折り曲げて測ってませんか?

こんなんじゃ正確に測れるはずがありません。私もやってましたが。。

内寸を測れるものは 下の画像のようにテープの端とコンベックス本体の端の間で長さを測定できます。

隙間収納を作るときや クローゼットの中の寸法を測るときなどには必須の機能です。

上記リンクの商品は 内寸は測れますが、長さ3.5m、テープ幅が16mmです。
内寸が測れて テープ幅 25mmのものは見つかりませんでした。
本当は私の使ってるものを紹介したかったのですが、廃盤になってまして。

ノギス:0.05mm単位の測定が可能

合板でも板厚がコンマ数ミリ変わることがあると すでに書きましたが、それを確認する道具がノギスです。

1mm以下の寸法を正確に測れる道具で、他に代えが きかない道具です。

穴の深さも測れるので ダボでの接合にも必須の道具です。

板厚とかそれほど 大きなものは測らないので、大きさは100mmのもので十分です。

さしがね、コンベックスではコンマ数ミリは測れない?

ノギスは 長いものでも150mm程度までなので、それ以上の長さのものは さしがね、コンベックスを使うことになります。

確かに さしがね、コンベックスは 0.1mm単位では測れません。

でも 目盛りに対して ピッタリなのか、半分なのか、半分もないのか、は 目で見てわかります。

半分なら 0.5mm、半分もないなら 0.3mm、半分超えてるなら 0.8mmといった具合に判断できます。

適当な感じがしますが、設計のときに用意した長さ調整の箇所で それくらい(0.3mmの精度)で測れれば 最終誤差もそれくらいに収まるというわけです。

誤差を把握して失敗を防ごう

というわけで 誤差と測定について解説しました。

まとめると、失敗しないためには以下の 2つの方法を取ることです。

  • 加工前、加工後、組み立て後に寸法測定して誤差を把握する
  • 誤差を吸収できる箇所を設計に入れておいて加工時に調整する

繰り返しになりますが、全ての加工で完璧な精度を出す必要はありません。

誤差があってもいい箇所、誤差を吸収する箇所を用意しておいて、もし精度が必要なところで 失敗したら、そこだけやりなおせばOKです。

失敗しないために必要なのは器用さではありません。

こまめに精度を確認する丁寧な測定です。

それだけで 失敗は減るので ぜひ試してみてください。

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