木工をはじめたときに意外とわからないのが木材の接合方法。
とりあえず すぐ思いつくのは 釘とかネジじゃないでしょうか。
でも釘とかネジって見えると素人丸出しでかっこ悪い……
素人でもできる 見た目が良く、しかも十分な強度のある接合方法を紹介します。
先に手法を紹介してしまうと、以下の 3つの接合方法になります。
- ボンド
- ボンド + ダボ
- ボンド + ネジ
ネジは素人丸出しって言っておきながらネジが入ってますね。
大丈夫です。ちゃんとネジ頭を隠す方法も紹介します。
木材の接合の基本はボンド
ボンドってあまり粘着力ないし、弱そうなイメージを持ってる ひともいるんじゃないでしょうか。
でも正しい使い方さえすれば 木材をめちゃくちゃ強力に接着できるんです。
その証拠に下の画像はボンドだけで接合してます。
人が乗っても壊れません。ちなみに体重は58kgです。
![](https://h110.info/blog/wp-content/uploads/2019/03/diy_joining_001.jpeg)
ボンドは木材同士の接合の基本になります。
ボンドの正しい使い方
ボンドで十分な接合強度を出す方法は次の通りです。
- 接着面同士を平らにする
- 接着面にボンドを十分に塗る
- クランプではさんで圧着保持する
- 2時間以上動かさない
1.で木材どうしが隙間が無くぴったり接触するようにして、3.でさらに密着度を上げることで 強力な接着ができます。
逆にいうと圧着保持しなかった場合、すぐに剥がれてしまいます。
圧着保持がボンドを使ううえで一番のポイントです。
ボンドの欠点
基本的に木材の接合にはボンドを使うわけですが、万能なわけではありません。
欠点をおさえておきましょう。
- クランプが使える大きさまで
- 保持時間が必要
- 水に弱い
クランプが使える大きさまで
繰り返しになりますが、ボンドの接合は圧着が重要です。
でも1メートルを超えるような大きさの作品になってくると そんなクランプ自体がない、またはあっても高価です。
どうしても使えるサイズは限られてきます。
保持時間が必要
ボンドが乾くまで 動かせないので 次の作業に進めません。
急ぐ場合は 2時間くらい経てばクランプは外せて、大きな荷重は掛けないようにすれば大丈夫ですが、一晩くらい圧着保持しておきたいです。
一度に何箇所もクランプすれば乾かす時間も一度で済むので、完成までにかかる時間を短縮できますが、その分クランプも用意しないといけません。
水に弱い
ボンドは水に溶けます。
屋外や水まわりで使うものを作る場合はボンドが溶ける可能性があるので、ボンドだけを使った接着は避けましょう。
ボンドのみの接合の使いどころ
小物や、引き出しなど、大きな荷重が かからない箇所に使いましょう。
本棚や 人の体重がかかるような箇所も いけないことはないんですが、安全面から後述のダボかネジの併用をお勧めします。
ボンドの種類
ボンドはどこでも売ってる黄色いボトルに入っていて 白い液体の いわゆる「木工用ボンド」でまったく問題ないですが、タイトボンドというボンドがおすすめです。
タイトボンドの違いは次の通り。
- 乾くのが少し早い
- 固まったあとヤスリで削れる
乾燥時間が早いのはもちろんメリットですが、使い方次第では悪い時もあります。
大型の家具のように接着面が多くクランプに時間がかかるときは乾燥時間が遅い方が焦らなくてすむので。
タイトボンドの良いところは後者の固まった後にヤスリで削れるというところです。
木材に着色する場合、はみ出たボンドに気付かず乾いてしまうと、ボンドには色が入らないため そこだけ白く残ってしまいます。
なのではみ出てかたまったボンドを削り取る必要があります。
このときに普通の木工用ボンドはグニャグニャしてて やすりで削りにくいんですが、タイトボンドは硬いので サクサク削れるんです。
これは一度やってみるとわかりますよ。
もし木工用ボンドで削るのに苦労したら試してみてください。
ボンド+ダボ が木工の主力
釘とかネジを使わない接合方法といえば 下の画像のようなホゾ組みですが、こんなの素人には無理ですよね。
![](https://h110.info/blog/wp-content/uploads/2019/03/hozo.png)
当然、私もできません。
仮にできたとしても 何箇所もホゾをつくるのはメンドイので、ダボが楽です。
ダボでの接合が 素人木工の主力の接合方法になります。
ダボの使い方
ダボは下の画像のような木の棒で、木材にドリルで穴を開けてこの木の棒を差し込んでボンドで接合します。
ホゾの凸の部分にこの木の棒を使うわけです。
![](https://h110.info/blog/wp-content/uploads/2019/03/diy_joining_002.jpeg)
具体的な ダボを使った接合の手順は下記の通りです。
- 先に木口側に穴を あける
- ダボマーカーで もう一方の木材に目印を付ける
- もう一方の木材にも穴を あける
- ボンドを流し込んでダボ挿入
- クランプで圧着保持
![](https://h110.info/blog/wp-content/uploads/2019/03/diy_joining_003.jpeg)
![](https://h110.info/blog/wp-content/uploads/2019/03/diy_joining_005.jpeg)
![](https://h110.info/blog/wp-content/uploads/2019/03/diy_joining_006-1.jpeg)
![](https://h110.info/blog/wp-content/uploads/2019/03/diy_joining_007.jpeg)
ダボの選び方
ダボには 様々な太さ、長さのものがありますが、太さに関しては 直径6mmと 8mmがあれば ほとんど対応できます。
ダボの太さの選び方の基準は 板厚の 2分の1から 3分の1 と言われてるので、ワンバイ材なんかをメインで使うのであれば、8mmだけで十分です。
長さに関しては長いほど抜けにくくはなりますが、穴をあけるのも、ダボを差し込むのも大変になるので、片側20mm、つまり長さ40mm程度を目安にするといいでしょう。
ダボの欠点
簡単便利なダボですが、単体で使うことはなく必ずボンドと併用になるので、ボンドと同じ欠点の
- クランプが使える大きさまで
- 保持時間が必要
がありますが、他に
- 精度が出ない
というのがあります。
精度が出ない
ご存知の通り、木材には年輪があります。
固いところ、柔らかいところがあって均質ではありません。
そこにドリルで穴を空けようとすると、ドリルは削りやすい 柔らかい方へ逃げていってしまい、狙った箇所から穴がズレてしまいます。
木口に穴を開ける場合は特にズレやすいです。
前項の手順1で「木口から穴を開ける」とした理由はこのためです。
たとえ 狙った箇所からズレてしまったとしても、ダボマーカーを使って相手の木材に位置を写すので問題ありません。
ダボマーカーを使う理由はここにあります。
とはいえ、ダボマーカーで目印をつけた 相手側の木材に穴をあけるときにもやはりドリルが流されてしまいます。
それで ダボが入らないほどのズレはないにしても、ピッタリつけたはずが コンマ数ミリの段差ができてしまったり ということは起こります。
ドリルをズレにくくする方法
いきなりダボと同じ径のドリルビットで穴を開けようとすると高確率でズレます。
理由は ドリルビットの径が大きいほど 抵抗が大きく、木目に流されやすいから。
なので、最初に直径2mmくらいの小さい穴をあけてから、ダボと同じ径の穴をあけることで かなりズレにくくなります。
![](https://h110.info/blog/wp-content/uploads/2019/03/prehole.png)
そもそも「ドリルで直角に穴を開けられない!」という方は以下の記事をどうぞ。
ダボの使いどころ、というか基本全てダボでOK
木材の接合はダボ接合を基本に考えましょう。
クランプを使えない箇所か、めちゃくちゃ精度が必要な時 以外、全てダボ接合で OKです。
特に本棚や人が乗ったりして大荷重がかかる箇所はダボ必須です。
ボンドだけの接合だと 圧着が足りなくて ちゃんと接着できてなかったら すぐに壊れますが、ダボが刺さってれば その心配もありません。
ボンド+ネジはクランプできない箇所で
ダボは 素人でも 見ため良く仕上がる 手段なんですが、クランプがネックになってきます。
クランプできない箇所ではネジを使って圧着します。
ネジの使い方、選び方
ネジといってもいろいろ種類ありますが、スリムビス(スレンダースレッドネジ)を使いましょう。
下の画像は一番左が全ネジ、真ん中と右(スリムビス)が半ネジで、ネジ頭に近い部分にネジがありません。
![](https://h110.info/blog/wp-content/uploads/2019/03/diy_joining_009.jpeg)
なぜ半ネジを使うかというと、
ネジが1枚目の板を貫通して 2枚目の板に進んでいくと、やがて1枚目の板にはネジ山が無い、ネジが効かない状態になります。
そうすると 1枚目の板は動けるようになり、さらにネジが進んでいくとネジの頭が1枚目を押し付け2枚目と圧着します。
こうして半ネジならクランプしなくても圧着できるわけです。
![](https://h110.info/blog/wp-content/uploads/2019/03/zen-neji_han_neji.png)
全ネジの場合、木材の間に隙間がある状態で締めてもその隙間はなくなりません。
なので ネジの選び方としては、ネジのない部分の長さが板厚より長いこと です。
ちなみ釘はダメです。単純に抜けるのもあるけど、圧着にならないので。
ネジの欠点
- 見た目が悪い
- 木材が割れる
見た目が悪い
いうまでもなく見た目が悪いのが最大の欠点です。
ネジ頭が見えるだけで素人感 丸出しです。
見えない箇所で使いましょう。
木材が割れる
スリムビスならあまりないですが、薄い板とか、端っこに打つときは めんどくさがらずに下穴をあけましょう。
油断してると割れて泣くことになりがち。
あと、狙ったところにまっすぐ打ち込むためにも下穴は極力あけた方がいいです。
ネジの頭を目立たなくする方法
ネジは基本、見えない箇所で使いますが、クランプがかけられない箇所では見える部分にも使わないといけません。
その場合は 浅く穴を空けたところにネジを打ってから、その穴を木の栓で塞いで目立たなくします。
穴埋めの手順としては下記の通り。
このドリルビットで木栓をつくります。
![](https://h110.info/blog/wp-content/uploads/2019/03/diy_joining_010.jpeg)
左の穴がダボドリルで木栓を取ったあと。通常はもちろん他の木から取ります。
右の穴は通常のドリルで開けた穴で、この中にネジを打ちます。
![](https://h110.info/blog/wp-content/uploads/2019/03/diy_joining_012.jpeg)
木栓にボンドを塗ってから穴に叩き入れます。
その後 あさりの付いてない のこぎりで余った部分をカット。
![](https://h110.info/blog/wp-content/uploads/2019/03/diy_joining_013-e1551593657429.jpeg)
最後にヤスリで仕上げて完成。
![](https://h110.info/blog/wp-content/uploads/2019/03/diy_joining_014.jpeg)
最後の画像は結構埋めたところ目立ってますが、木目を合わせたりすれば結構目立たないです。
この手順では同じ木材から木栓をつくってなるべく目立たないようにしてますが、あえて色の違う丸棒を買ってきてデザインにしてしまうのもアリです。
まとめ
木材の接合方法について紹介しました。
素人ができる、強度、見た目も良い接合方法は ダボを使う方法です。
ホゾは無理だけど ダボならいける気がしませんか?
ネジ頭が見えないだけで 素人感がなくなります。
クランプができなくて やむを得なくネジを使う場合でも、頭を埋め込むだけでだいぶマシになります。
木をまっすぐに切れて、ネジ頭のない接合ができれば 市販品並みのものが作れますよ。