家で使う棚を作るのは強度だけ考えればいいので設計は難しくないんですが、キャンプ用となると
- 折り畳める
- 軽い
- 組み立てが簡単
も必要になってきます。
持ち運ぶので折り畳めるのは当然必須ですが、経験上、重い・めんどくさいは使わなくなる可能性が高いので軽いことと組み立てが簡単なことも重要です。
軽くするには必要最小限の強度を見極めないとだし、自作するなら市販品にはない棚にしたいとか、考えることが多く設計に手こずりました。
あれこれ考えるのも自作の楽しいとこのひとつなんですけどね。
会社で仕事中に考え続け、ようやく納得のいく棚ができたので作り方を紹介します。
キャンプ用折り畳み棚の完成形
最初にどんな棚か紹介します。
天板は薄めの板(9mm厚)で軽量化、2段目は鉄製のメッシュパネル。
下段は棚板をつけずに 45号(LLサイズ)のレジ袋が3枚掛けられます。
ウォールポケットで袋が直接見えないようにしつつ収納にも。
後付けのジャグスタンド。
重さは4.2kg。
思ってたより重いけど、同じサイズのコーナンラックが5kgなので、まずまずですかね。
収納時と組み立て方
収納時はこんな感じ。
脚の切り欠きに横板を4箇所はめこんで、
立たせる。
上からメッシュパネルを脚に通して、
天板を乗せて完成。
切り欠き部を十字に重ねて組み立てる、シンプルな構造です。
いわゆる相欠き継ぎという木工の手法なんですが、難しそうですかね?
安心してください。電動工具もノミの技術も必要ない、かつ失敗の少ない方法を紹介します。
キャンプ用折り畳み棚の作り方
図面と材料
早速ですが図面です。
- 1×4(6ft) 2本(40mm幅で縦にカットしたものを4本)
- シナ合板 1枚 : 幅300mm、長さ600mm、厚さ9mm
- ダボ 16本 : 径8mm、長さ40mm
- 丸棒 1本 : 径10mm、長さ300mm程度(径8mmでも可)
- メッシュパネル 1枚 : 300×600mm
メッシュパネルはホームセンターのカインズで買えます。オンラインでも買えるのでリンクを貼っておきます。
高さ850mmは家庭のキッチンの高さと同じで、立ったまま物を置いたりアクセスしやすい高さになってます。
天板はそれほど重いもの乗せない想定なので薄め。でもダッチオーブンのような極端に重いものじゃなければ問題ありません。
強度計算は以下を参考にどうぞ。
キャンプ用折り畳み棚の作り方
長さはこちらの通り。
この後の説明用に各部の名前をここで決めておきます。
のこぎりで木を正確にカットする方法を貼っておきます。
同じ長さに揃えるには 5mmくらい長めにカットしておいて、まとめてクランプで固定してからカットすれば確実。
ここが最大の難所ですが、急がず慎重に根気よくやれば大丈夫。
脚縦板の下から350mmの位置に墨付けし、4本まとめてソーガイド で切り込みを入れます。
一応、横板の厚さを測っておきます。
1×4なので19mmのはずですが、0.5mmくらい違うこともあるので。
先に入れた切り込みから横板の厚さ分(約19mm)の位置に墨付け。
こうするとのこぎりの切り幅の誤差を小さくできます。
ソーガイドで切り込み。迷ったら狭めになるようにしてください。
のこぎりの刃先から20mmの位置にアイスの棒を両面テープで貼って……
切り込みをいれまくる。
アイスの棒で止まるので全て深さ20mmになります。
マイナスドライバーでこじったり、手でむしったり、カッターで切ったりして、最後はやすりで仕上げます。
横板を差してみて、入らなかったらヤスリで削る、横板を差してみる、削る、
を繰り返します。
切り欠き完成。
削りすぎてユルユルになっても、多少なら大丈夫です。ニスを塗るとキツくなるので。
横板にも同じように深さ20mmの切り欠きを入れてください。
こんな感じで袋を掛けるための切り欠きを入れます。
10mmのドリルで穴あけてからのこぎりでカットします。
全て切り終わったら このタイミングで全部の板の面取りをしておきましょう。
先に脚補強の木口にドリルで径8mm、深さ20の穴をあけます。
位置はだいたいでOK。
脚補強にあけた穴にダボマーカーを入れて脚縦板に押し付けて転写します。
脚補強の位置は脚縦板の上端から300mmと600mmの位置。
脚縦板に転写した位置にドリルで径8mm、深さ20+2,3mmで穴をあけます。
穴深さの「+2,3mm」はダボの長さより少し深くするためです。
脚縦板の木口にも径10mm、深さ20mmで穴をあけておきます。
このとき位置はなるべく中心になるように。
脚縦板と脚補強をダボとボンドを使ってクランプで圧着します。
天板のサイズは 600×300mm。
脚と横板を仮組みして、脚の上側木口にあけた穴にダボマーカー入れて距離を測ります。
下図のふたつの赤矢印の距離が違う場合は平均を距離とします。青矢印も同じです。
さきほど測った距離で天板に径10mmの穴を開けます。
ダボマーカーで転写した位置だと距離がバラバラになってしまい天板の向きが限られてしまいます。
こうすると天板の向きを気にせずに組み立てることができます。
少し長めにカットした丸棒(径10mm)にボンドをつけて脚の穴に差し込みます。
天板を取り付けて、飛び出た丸棒をあさりのない のこぎりでカットして完成です。
最後に塗装しましょう。塗れても水が染み込まないように。
塗装すると塗膜分の厚みが増えるので、切り欠きが ハマらなくなるかもです。
再度ヤスリで削って調整しましょう。
おまけ1:ウォールポケット掛け
最初は麻の布とかでレジ袋を見えないように隠すつもりだったんですが、ウォールポケットにすれば収納にもなるじゃん!
と閃いて急遽ウォールポケットを取り付けることに。
Amazon、楽天にドンピシャサイズのウォールポケットがなかったので、なるべく近いサイズで買ったウォールポケットはコレ↓
というわけで横板にハトメを引っ掛ける部分をつくります。
ハトメの内径が14mmなので13mmの丸棒が欲しかったんですが、そんなものないので自作。
6mm厚のMDFを削って円形にして、径8mmの丸棒とボンドで接着しました。
色を塗ればMDF感はだいぶ無くなります。
これを横板に穴をあけて差し込んでウォールポケット掛けに。
最初にウォールポケットを決めておいて、それに合うサイズの棚にした方が良いかもですね。
おまけ2:ジャグスタンド
これは最初から考えてました。それを見込んでの下側の補強板の位置です。
作り方は超簡単です。
適当な長さにカットした1×4 2枚をダボで接ぎます。
画像を撮り忘れましたが、ジャグスタンドの脚用にもう1枚 1×4を長さ241mmでカットしておきます。
片側に 8mmの穴をあけておきます。
脚側には丸棒を付けておきます。
塗装します。
蝶番をとりつけて完成。
(手持ちの蝶番を使ったので小さめです。もうちょっと大きいのがいいと思います)
設置するとこう。
もちろん折り畳めます。
まとめ
相欠き継ぎを使ったキャンプ用棚の自作方法を紹介しました。
家具につかうときの相欠き継ぎはハンマーで叩いで入れるくらいキツキツにするので意外と精度はそこそこでいいんですが、キャンプ用で組み立てたり分解したりできるように絶妙な加工をするのは難易度高めに思えるかもしれません。
ですが今回紹介したように地道に削る、確認、削る、確認を繰り返せば誰でもできます。
技術はいりません。必要なのは根気だけです。
この構造の利点としては、組み立てが簡単で、割と軽くすることができます。
ただ 欠点としては、相欠き継ぎを抜き差しできる隙間があるので、多少グラつきます。
グラつき具合としては家具としてはアウトだけど、キャンプでなら といった感じ。
もしつくってみてグラつきが気になるようだったら、以下の記事の棚のように改良するとグラつきはなくなるので、よかったらそちらもみてみてください。
追記:脚のグラつき対策
簡単なグラつき対策を思いついたので追記します。
STEP6の天板にダボ穴の位置決めの時に、左右の脚の距離(画像の青の矢印の距離)を若干狭めにしておくとグラつきがなくなります。
脚が正面から見てハの字になって相欠きの隙間が密着するようになるからです。