誰でものこぎりでまっすぐに直角に木を切れる素人木工に必須なツール、ソーガイド。
ソーガイドにはソーガイドベストとソーガイドFの2種類があります。
初心者が最初に選ぶべきなのはどっちなのか、両方とも使用している私が解説します。
結論としては、初心者には基本的にソーガイドベストをおすすめします。
ソーガイドFを選択した方がいいケースも含めて理由を解説します。
ソーガイドベストとソーガイドFの違い
まず最初に確認しておくと、
- まっすぐ、直角に切る
- スライダーを使って幅広の板を切る
といった基本的な機能はソーガイドベストでもソーガイドFでも同じです。安心してください。
機能の違いは角度をつけたカット
ソーガイドベストとソーガイドFのできることの違いは、直角、90度以外の角度をつけたカットができるかどうか。
ここから先、角度の表現として「90度」と「直角」が出ますが、
- 90度:木材を上から見たときの角度
- 直角:木材の切断面の角度
という意味で読んでください。
ソーガイドベストは90度と45度の直角カットのみです。
45度カットするには下の画像のように付属の金具を付けて使います。
これしかないので、30度とか53度とか中途半端な角度はできないし、板厚方向に傾斜をつけたカットもできません。
それに対してソーガイドFは下の画像のように角度を自由に変えられるので傾斜を含めどんな角度でもカットすることができます。
傾斜カットは木口の見えない箱を作ったりするのに必要です。
傾斜を含めた角度カットするならソーガイドF一択
選び方はシンプルに、45度以外の角度でのカット、傾斜をつけたカットをするならソーガイドF一択ということになります。
そうすると、90度と45度の直角だけあれば十分だけど、一応ソーガイドFにしておこうと思う人もいるんじゃないでしょうか。
でも90度と45度の直角だけしか使う予定がない人はソーガイドベストをオススメします。
理由はソーガイドFには欠点があり、ソーガイドFより後に発売されたソーガイドベストはそれが改善されてるからです。
ソーガイドFの欠点
以下のとおりです。
- 角度調整めんどくさい
- デカくて重い
ソーガイドFは角度調整がめんどくさい
これが最大の欠点です。
ソーガイドFは角度が自由に変えられる分、直角にするのにも角度調整が必要になるんです。
調整して試し切り、調整して試し切りを繰り返します。
別に難しいわけじゃないんですが、ただただ根気のいる作業です。
これがめんどくさすぎるので、一度バシッと直角が出ると、もう角度を変えたくなくなります。
せっかくの無段階で角度を変えられる機能があるのに、変えるのが億劫になり90度しか使わない結果に。。
ショッピングバッグ持ってるけど畳むのめんどくさいから出さないでビニール袋買うみたいな。
私はソーガイドFをずっと使っていましたが、ソーガイドベストも買った理由はコレです。
ベストを直角専用、Fを角度切り用にするために。
追記
めんどくさいソーガイドFの角度調整を楽にする方法を考えました。
デカくて重い
これはソーガイドベストと比べて、なので、ソーガイドの利点のところで。
ソーガイドベストの利点
- 小さくて軽いから扱いやすい
- 角度調整がいらない
小さくて軽いから扱いやすい
ソーガイドベストとソーガイドFの大きさは下の画像を見てもらえればわかる通り一回り違います。
重さは実測で
- ソーガイドベスト:349g
- ソーガイドF:906g
ソーガイドベストはソーガイドFの半分以下の重さです。
この大きさ違いで得られるメリットは
- 材料が少なくても切れる
- 細い木材でも安定する
- 小さいのこぎりを使える
材料が少なくても使える
これが一番のメリットだと思います。
ソーガイドFだと残りの木材が80mm無いと抑えられない(クランプできない)ので使えません。
それがソーガイドベストだと40mm残ってれば切れます。
これはスライダーを使った幅広の板をカットするときも同じです。
ソーガイドベストは大きさ120mm、ソーガイドFは155mmで35mmの差があります。
✔︎細い木材でも安定する
細い木材というかワンバイ材を立てて切り込みをいれるときとかの作業性が違います。
重くて大きいソーガイドFはそれなりの接地面積がないとグラついて安定しません。
不安定で落としそうになります。
落とすと床がガッツリへこみます。
床ならまだしも足の指に落としたら骨にヒビ入るかも。いやマジで。
小さいのこぎりが使える
ソーガイドベストは刃渡り265mmの通常サイズののこぎりと、刃渡り180mmの小さいのこぎりがセットになっていて両方使えます。
この小さいのこぎりが使ってみると非常に使いやすい。とくにさっきもあげた切り込み入れたりの作業が。
ただ短いだけじゃなく、
- 刃のピッチ(ギザギザの間隔)が狭い
- 切り幅が0.66mmと狭い(通常サイズは0.92mm)
ピッチが狭いことで切断面がキレイになり、切り幅が狭いことで加工精度が上がります。
なので特に小物入れとか小さめの作品を作るときには重宝します。
角度調整がいらない
角度は90度、45度の直角で固定されてるので調整する必要がありません。
でもこれには落とし穴が……。
ソーガイドベストの欠点
ソーガイドFは角度調整がめんどくさいと書きましたが、ここで説明するために あえてめんどくさい理由を書きませんでした。
だって角度調整なんてスコヤを当てて固定すれば済みそうじゃないですか。
でも実はそれだとカットしたときに断面の直角が出ないんです。
下の画像を見てください。
上はスコヤがついてるのに下はスコヤから離れているのがわかりますかね?
かなり微妙な角度ですが、こうしないとカットしたときに直角にならないんです。
おそらくですが切り進んでのこぎりが下の方にいくにつれてソーガイドがのこぎりを咥える量が少なくなり、拘束力が小さくなった結果、のこぎりが横に動けてしまうからだと思います。
私の切り方に変なクセとか力が入ったりしてるのかもですが、両手で真っ直ぐ引いてもなるんですよね。
とにかくどうしても斜めになってしまうので、その分を見込んで調整する必要がある、というわけです。
ということは直角につくられているソーガイドベストでカットすると直角に切れないのでは?ということになり、実際厳密な直角になりません。
ただしワンバイ材(厚さ19mm)程度までならそんなに気にならないレベルです。
ツーバイ材(厚さ38mm)になると気になり始めます。
なのでツーバイ材のような厚板を多く扱うようならソーガイドFの方がいいかもしれません。
最後に迷わせてしまったかもしれませんが、次で整理します。
まとめ
というわけでソーガイドの選び方としては
- 45度以外の角度カットをする
- ツーバイ材(厚板)をよく使う
ならソーガイドF一択。
当てはまらないなら、とくに初心者には扱いやすいソーガイドベストをオススメします。
両方持ってる私の実際の使用頻度としては、8〜9割ソーガイドベスト(with 小さいのこぎり)、ピンポイントでソーガイドFを使うといった感じ。
とくに初心者には最初は扱いやすさの方が重要だと思うので、ソーガイドベストから入って、必要になったらソーガイドFを買い足すといった感じがいいと思います。