【強度計算】DIYで棚をつくるときの板の厚さの決め方【もう悩まない】

「棚をつくりたいけど 板はどれくらいの厚さにすればいいんだろう」

って悩んだことはありませんか?

経験があれば だいたいこれくらいなら大丈夫だろうってなりますが、経験がないとなかなか難しいですよね。

だからといって とりあえず厚めにしておけば 壊れはしませんが、その分材料費がかかってしまいます。

この記事では仕事で自動車の強度設計をしてる私が、棚板に必要な板の厚さを計算する方法を解説します。

目次

板のたわみ量を公式を使って計算する

棚の板厚を決めるにあたって気になるのは 壊れるかどうかではなく、棚がどれくらい たわむかです。

物をのせた時に目に見えて たわむようでは 話にならないですからね。

たわみ量算出の公式

たわみ量を算出するための公式があるので、それにあてはめて計算します。

式は以下の通りで、単位は 長さはmm、重さはkgです。

式の中身について解説:長さと厚さが重要

式の内容について少し解説します。

この式をよくみてみると、「重さ」と「幅」は たわみ量への影響は小さくて、

影響が大きいのは「長さ」と「厚さ」です。

「長さ」と「厚さ」は 3乗になっているからですね。

例えば、重さが 2倍になったときに 同じたわみ量にするには、厚さは 2倍にする必要はなく、1.26倍(1.26を3乗すると 2)で済むわけです。

7500という数値について

ここを気にする人はあまりいないかもしれませんが。

これは 材料によって変わる特性値です。

ヤング率とか 縦弾性係数とか言ったりしますが、名前はどうでもいいですね。

調べたところ SPFだと 7500を使うようです。

合板とか 他の材質だと この数値は変わるし、そもそも同じSPFでも木は常に均質ではないので、正確には変わってきます。

ただ、そんなに大きく変わらないというのと、後述する理由で 7500で計算しておけばOKです。

補強を入れる場合

ここで解説する補強の計算は厳密には間違ってます。
ちゃんと計算しようとすると 結構めんどいので、実用上問題のない簡単な方法を解説してます。

下図のように補強を入れる場合、幅×厚さ^3 の部分を足し合わせて計算します。

ここで 補強板の「幅」と「厚さ」の向きに注意しましょう。

全ての板で 「幅」と「厚さ」の方向が一致するようにしてください。

計算値を補正して精度を上げる

計算でたわみ量は出たものの、その数字をみても ピンとこないですよね?

具体例をみてみましょう。

1×4 の長さを 300mm、600mm、900mmにして、体重 58kgの私が 乗った時の たわみ量の実測値と計算値が以下の表になります。

長さたわみ量 実測値たわみ量 計算値実測値と計算値の比
300mm0.5mm0.8mm1.66
600mm4mm6.7mm1.68
900mm13mm22.6mm1.74

実は算出した たわみ量と実際に測った たわみ量ではピッタリ一致するどころか結構違うんです。

それじゃあ使えねーじゃねーか!って思うかもしれませんが、大丈夫です。

実測値と計算値は一致しない。けど使える

先ほどの表の一番右、実測値と計算値の比を見てください。

300mmでも600mmでも900mmでも、計算値は実測値の だいたい 1.7倍くらいになってます。

つまり計算値はそのままでは誤差が大きくて使えませんが、計算値を1.7で割ってやれば ほぼ実測値になるということです。

注意点として、今回の補正値は1.7倍でしたが、これは使う材料によって変わります。

できれば手元にある材料で測定してみるか、何もなければ 1×4を一本買ってきて実際に測定して計算値と比べて補正値を出して確認してみてください。

実際のたわみ量の目安

たとえば たわみ量が 3mmだとわかったとして、それっていいの?悪いの? 結構判断に迷うと思います。

完全に私の主観ですが、参考にたわみ量の目安をのせておきます。

下記は 1×4に乗ってみたときの感じです。

  • たわみ量 0.5mm → ビクともしない。
  • たわみ量 4mm → たわんだ感じはあるけど まぁ大丈夫。
  • たわみ量 13mm → めっちゃたわんでる。折れそう。怖い。

本棚のように重たいものが長時間乗るようなものは、たわみ量 1mm程度以下が良いです。

ずっと重いものが乗ってるわけじゃないけど、たまに人の体重がかかるようなものは、たわみ量 3mmくらいを目安にすると良いと思います。

まとめ

木材のたわみ量の算出方法と 板厚の決め方について解説しました。

公式にあてはめればいいとはいえ、それなりに計算量があるし、実測値と比較も必要だしで結構めんどくさいですよね。

でも これをやっておくと、板厚選びの失敗はなくなります。

それに 計算をもとにひとつ作品をつくれば、それが基準になり、次の作品の板厚の決定が非常に楽になります。

毎回まじめに計算しなくても、なんとなくこれくらいというのが少ない経験でも判断できるようになります。

最初はめんどくさいかもしれませんが やってみてください。

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