ソーガイドFは無段階で角度を変えられるので便利なんですが、その分直角ピッタリにするのにもコンマ何度の調整をしないといけなく、これが結構面倒なんですよね。
なので一度直角が出ると変えたくなくなってしまって、せっかくの角度を変えられる機能が宝の持ち腐れに。
ソーガイドFの角度切りをフル活用するために、面倒くさい調整作業を無くして一瞬で直角を出す方法を紹介します。
ここから先、角度の表現として「90度」と「直角」が出ますが、
- 90度:木材を上から見たときの角度
- 直角:木材の切断面の角度
という意味で読んでください。
ソーガイドFで直角の角度調整が必要な理由
ソーガイドFの角度調整なんてスコヤを当てて固定すればいいと思いませんか?
上から見た90度はそれで大丈夫なんですが、板厚方向の直角はそれではダメなんです。
ソーガイドFが直角でも切断面は直角にならない?
ソーガイドFはスコヤをぴったり合わせて固定しても切断面が直角にならないんです。
スコヤが間違ってるはずないので、自分のやり方が悪くて微妙にズレているだけ、と思い込んで何度 調整をやり直しても微妙にズレます。
やり方を変えて、角度がズレてる方向と逆にソーガイドの角度を少しずつ調整して試し切りを繰り返すと、ようやく切断面が直角になります。
切断面が直角になったと時その時のソーガイドは下の画像のようになります。
かなり微妙ですが、上の方はソーガイドにスコヤが接触してるのに、下の方はスコヤから離れているのがわかりますか?
切断面が直角にならない理由
スコヤを当ててソーガイドを直角にした状態でカットすると、次の画像の矢印のように必ずソーガイドから逃げる方向にズレます。
この原因は おそらくですが、切り進んでのこぎりが下の方にいくにつれて ソーガイドがのこぎりを咥える量が少なくなり、拘束力が小さくなった結果、のこぎりが横に動けてしまうからだと考えています。
私の切り方に変なクセとか力が入ったりしてるのかもですが、両手で真っ直ぐ引いても、あえて逆に力を入れてもなるんですよね。
なので、このズレを見込んだ角度にソーガイドを調整しなければいけないので面倒くさいんです。
角度調整治具をつくる
単純な方法ですが、切断面が直角になる角度にソーガイドを調整するための治具を作ります。
ただ これには問題があります。
ピッタリ直角なら簡単だけど、この微妙な角度をどうやって出すのか。
そこで あるアイテムを使うことが今回の最大のポイントになります。
治具/ジグ(英語:jig)は、加工や組み立ての際、部品や工具の作業位置を指示・誘導するために用いる器具の総称。
Wikipedia
ソーガイドF直角出し治具の作り方
ここから先の説明中にでてくるソーガイドFの各部の名称は公式の説明書の通りなので、わからなかったらこちらから確認してください。
最初に作成のイメージがしやすいように完成形をのせておきます。
それでは作り方にいきましょう。
最初にソーガイドFの 90度と直角が完璧に出るように調整してください。
それをやりたくないからこの記事を読んでるんだが、という声が聞こえてきそうですが、すみません、これが最後だと思って。
あと、ガイドプレートの位置は一番上にしておきましょう。
カットした各板の名称を次の通りとします。
材料は今回 端材を使ったので、厚さ9mmのシナ合板ですが他でも大丈夫です。できれば反りが少ない合板かMDFがいいです。
各板の寸法は
- 土台 : 225×70
- 当て板 : 75×114
- 補強 : 55×105(2枚)
まったく同じ寸法にする必要はありません。参考値程度で大丈夫です。
土台はソーガイドFの位置決めストッパーより高くなるように、2枚重ねにしています。
気をつける場所は土台の長手方向の一辺は直線出ていること。
ここに位置決めストッパーを当てるので、さしがね等を当てて直線を確認しましょう。
逆に他はだいたいの直線で大丈夫だし、角も90度が出てなくてもOKです。
当て板にはソーガイドの上下調整ノブを逃がすための切り欠きを入れておきます。
上下調整ノブの径は18mmなので、25mmのフォスナービットで穴をあけたあとでのこぎりでカットするのがベストですが、なければ持ってるドリルで穴をあけまくって割る、とか方法は何でも。
当て板をガイドプレートに当てて、土台との接触面積がなるべく増えるように削ります。
ピッタリではなく、なるべく で大丈夫です。
次は補強も当て板に合わせてなるべく隙間がなくなるように削っていきます。
こちらもピッタリではなく、なるべく で大丈夫です。
最初に土台と当て板を接着しますが、ここでは通常木工で使うボンドは使いません。
エポキシ接着剤を使います。ここが最大のポイントです。
エポキシ接着剤は2種類の液体を混ぜて、その化学反応で硬化する接着剤です。
ボンドは液内の水分が蒸発して硬化するので乾燥後は体積が小さくなりますが、エポキシ接着剤は2液の化学反応で硬化するので体積が減りません。
なのでボンドのようにクランプで密着させる必要がなく、隙間があってもそこを埋めてくれるので、今回のような大体の精度でもしっかり固定さえしておけば狙った形になります。
エポキシ接着剤を当て板の下側木口にたっぷり塗って土台に接着します。
このとき当て板とソーガイドFのガイドプレートを洗濯バサミ等で軽く固定して接着剤が硬化するのを待ちます。
当て板の接着剤が固まったら、補強も板も同様にしてエポキシ接着剤で接着します。
はみ出すくらいたっぷり塗りましょう。
使い方は説明するまでもないと思いますが一応。
傾斜角度固定ネジを緩めてガイドプレートを当て板に当て、その状態で傾斜角度固定ネジを閉めるだけです。
まとめ
ソーガイドFの直角を一瞬で出すための治具の作成方法を紹介しました。
これ作ってしまえば躊躇なくソーガイドFの角度を変えられるようになります。
この治具をつくるときに使ったエポキシ接着剤は作品には使いにくいですが、圧着が難しいときなど 覚えておくとどこかで役に立つかもしれません。
エポキシ接着剤を試すのにも良い機会なので、ぜひこの直角治具を作ってみてください。