自動車の開発=設計ではないという話【就活生向け】

仕事

私は自動車業界で10年以上働いていますが、この就活シーズンになると採用の手伝いで学生に向けて仕事紹介をしたりしてます。

そこで学生と話す機会があるので どんな仕事をしたいか聞くと、大体「開発をやりたいから設計」と答えますね。

間違ってないし それはそれでいいんだけど、そもそも他の選択肢を知らない様子。

といっても、10年以上前に就活をしてたときの私も同じでした。

なので 今の就活生の参考になれば。

 

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自動車の開発の流れ

自動車の開発の流れは ざっくりいうと

企画 → デザイン → 設計 → 実験 → 生産技術 → 生産

大体こんな感じです。途中何回も行ったり来たりはしますが。

この中で設計と実験が開発になります。

デザインも開発に入るかもですが、割と特殊な領域なので 外します。

 

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設計の仕事

設計は車の図面を書く部署です。

図面といっても もちろん紙ではなく、3DのCADデータ。

設計が書いた図面が実際に形になって世の中に出ていきます。

 

多分こういうイメージ

仕事の風景としては、一日の大半CADに向かっている。

設計者が強度計算をして車の骨格の配置を決めたり部品の形状を全て考えて図面にする。

それがそのまま製品となる。

こんなイメージですかね?

 

実際の設計は

自分で考えた線を思い通り書くのではなく、いくつもの制約の中から消去法で一本の線を引く そんな感じです。

車体設計での制約というのは、例えば 室外側だとデザイン面、室内側だと人の乗る空間があるので、その間のスペースで設計します。

その狭いスペースも、内装、電装部品の取付け、性能(後述)、作りやすさ等の制約によってほとんど自由に書けるスペースはありません。

さらにいうと、すでに開発が終わってる(実績のある)車にならって 図面を書くので、ほとんど自分が「設計してる」という感じはないかもですね。

こんなことをいうと夢がないかもしれませんが、「設計は妥協の産物」なのです。

最適な妥協点を見つけるのが設計の仕事でなので、各部署と調整、取りまとめる能力が主に求められ、意外と一日の中でCADを使ってる時間は短いです。

 

設計の仕事の良さ

ネガティブな印象になってしまったかもしれませんが、それでもやっぱり設計は開発の花形です。

車の開発の最初から最後まで設計主導で進んでいき、最終的に 製品になる図面を書くのは設計なわけで、もちろんそこにやりがいはあります。

自分が かかわった車が世の中に出るというのはやっぱり嬉しいものですよ。

その実感を強く感じられるのが設計です。

 

設計は何かと有利

設計は様々な部署との調整で 幅広い知識を得ることができるので、将来 企画をやりたいとか、比較的 上を目指しやすいポジションですね。

あと、転職でも有利です。

設計で鍛えられる 調整、マネジメント、人に説明する能力というのは どこでも必要とされるので、学生の時点でやりたいことをはっきりを決められないなら、「とりあえず設計」は可能性を残せる選択肢だと思います。

 

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実験の仕事

テレビCMなんかで車の衝突実験のシーンを見たことありませんか?

実験は設計が書いた図面が車の性能がちゃんと出ているか確認、評価する部署です。

この評価でNGが出ると、図面を書き直しになるので、これもまた設計が思い通りの図面を書けない理由のひとつになります。

要は図面の出来をチェックするわけですね。

実験には衝突以外にも振動、耐久性、乗り心地など ユーザが分かるもの 分からないもの たくさんあります。

 

実験はシミュレーションで

実験は車を手配して、試験の準備、測定、結果の精査など、実際のモノを扱う仕事ですが、実験のための試作車をつくるのは 大きなコストと時間がかかります。

そのため実験は 最小限に済ませ、開発の中では コンピュータ上でのシミュレーションによって実験を行い、図面の評価をします。

このシミュレーションをCAE(Computer Aided Engineering)といいます。

CAEは今の車の開発になくてはならない技術です。

 

CAEの役割

CAEは ただコストを削減するためだけのもの  ではありません。

CAEを使えば、実験では測定できないデータを取ったり、力のかかっている場所を可視化したり、カメラを使っても見れないような場所の変形の様子を確認することができます。

この技術が発達したことによって 細かい分析が可能となり、車の品質が年々向上しているのはCAEによるところが大きいです。

 

開発の中でのCAEの仕事

まず 設計が書いた図面を CAE用のデータに作り変えます。

そのデータを使ってシミュレーションするのですが、まぁ大体一回でOKになることはありません。

そこで、まず どこが原因でダメだったのか、それを改善するにはどうすればいいのか、対策案を考えて それでシミュレーションをします。

それがダメだったらまた 原因を考えて……を繰り返して正解を見つけ、それを設計を通して図面に反映させます。

ただ ひたすらトライ&エラーでやっても正解にはたどり着かないので、CAE技術者には工学知識とロジカルシンキングが求められます。

 

開発にはこういった実験やCAEもあって、設計だけじゃないよ という話でした。